昨今の不動産価格に影響を及ぼす要因 2021/5 現在
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不動産に関する豆知識
昨今の不動産価格に影響を及ぼす要因 2021/5 現在
1,解体費用の値上がり
基本的には固い構造体でできている建物ほど、解体費用の単価は高くなります。重機や職人の人数が必要になるなど、解体工事の手間が増えるからです。従前、解体費用の目安としては、木造なら3万~5万円/坪、鉄骨造なら4万~6万円/坪、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造なら6万~8万円/坪が一般的な相場でした。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)廃棄物処理法第3条において、事業者は、事業活動に伴って生じた廃棄物を適正に処理しなければならないという重要な責任を有しています。排出事業者による処理業者への廃棄物処理委託に際し、地方公共団体の規制権限の及ばない第三者が排出事業者と処理業者との間の契約に介在し、あっせん等を行う事例が見受けられていたことから、排出事業者においては、自らの事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理することが強く求められ、廃材処分方法に煩雑な手続きやマニュフェストが求められています。
更にアスベスト(石綿)は建材などに利用されていましたが、現在は中皮腫などの健康被害を引き起こす可能性がある有害物質であるため製造などが原則禁止されています。石綿含有成形板等は、通常の使用状態においては、石綿粉じんが飛散することは少ないものの、切断や破砕作業により石綿粉じんが飛散することが懸念されます。そのため、現場における切断等は原則禁止です。一般的に、アスベスト解体費用は、吹き付けアスベスト(レベル1)がある場合、解体費用のおおむね2倍になります。 解体費用が150万円なら、アスベスト除去費用も150万円ほどかかり、アスベスト解体費用は300万円くらいになるということです。これもかなり高い確率でサンプリングが求められ、ごく僅かでも検出された場合、解体費用は激増します。
2,木材・コンクリートの値上がり
コロナ禍を受けたゼロ金利政策で米国では住宅需要、中国においても内需拡大により木材需要が旺盛になっています。コンテナ不足や2019年に北米で発生した木材業界のストライキなどの要因も重なって世界的に木材価格が急騰する「ウッドショック」が起こっています。住宅や木材の関係者は今回の価格上昇を“第3次ウッドショック”と呼んでおり、1990年代初頭、世界的な天然林保護運動をきっかけとして木材需給のひっ迫が発生したのが第1次、第2次は2006年にインドネシアの伐採制限が引き金となっています。
林野庁によると19年の木材の国内自給率は約4割で徐々に改善傾向にあります。しかし、国産材はバイオマス発電やパルプでの需要も多いため、住宅建材として使う木材は輸入に頼らざるを得ない状況です。日本は林業従事者の高齢化が進行しているなどの課題を抱えており、急な増産に対応できていません。コロナ禍を克服した中国や米国が景気浮揚策としてインフラ整備を打ち出せば、国際的な木材価格が一段とつり上がる可能性もあります。
更にコンクリートについても、供給が限定的になっており、価格が増加傾向にあることが認められています。
既存物件の購入だけでは価格や採算性が合わないことから、既存建物の取り壊しを伴う開発案件が増加傾向にありますが、上記の要因によって、従来まで成り立っていた収支計算が成り立たなくなることが多くなっております。ぜひ、お気軽にご相談ください。
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