大阪、関西の不動産 コロナ渦の不動産市場動向

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2021年最新 コロナ渦の不動産市場動向

令和2年(2020年)11月19日に国土交通省不動産・建設経済局が発表した「地価LOOKレポート(主要都市の高度利用地等の地価動向報告。国土交通省が、主要都市の高度利用地等を対象に四半期毎の地価動向を調査し、先行的な地価動向を明らかにするもの。調査対象は全国100地区で、東京圏43地区、大阪圏25地区、名古屋圏9地区、地方圏23地区。)」によると、1地区を除いて横ばい又は下落となった。

 ◆変動率区分は87地区で不変、10地区で下方に移行、3地区で上方に移行。
 ◆上昇地区数は1地区で前期と同数、横ばい地区数が61地区から54地区に減少、下落地区数が38地区から45地区に増加。
 ◆用途別では商業系が住宅系より下落地区の割合が高い。地域別では大都市圏が地方圏より下落地区の割合がやや高い。

新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテルや店舗等の収益性低下による需要の減退が一部で見られるが、全体としては需要者の様子見傾向が継続している。

また、マンションやオフィスの需給バランスには大きな変化は見られていない。実務を行いながらに感じる肌感覚としては、新型コロナ感染症特別貸付をはじめとする実質無利子・無担保の融資が実行され、各国中央銀行(特にアメリカ)が実施している緩和的な金融政策によって、株式市場や金市場、仮想通貨市場に大量の資金が流れ込み、資産価格を押し上げている向きがある。

不動産に関しても、ホテルや飲食店の入居する不動産は影響が若干あるものの、住宅系に関しては寧ろ価格が上昇しているものも散見される
日本ではコロナの第三波が押し寄せ、感染力がより強い変異種の存在も疑われ、再び緊急事態宣言が発令されるに至っている。このような強制的な経済活動のストップは、当然、経済や不動産価格に何ら影響を与えないわけはなく、金融機関や倒産情報を扱うデータ会社との情報交換では、来年度(2021年4月以降)から顕著な影響が見られ始めるのではないかといった意見が聞かれる。

関西の不動産市場に目を転じると、2025年の大阪国際博覧会(万博)に向けた都市インフラの整備や都市機能を担う不動産の開発が促進され、国際都市「大阪」の魅力を発信することで、不動産マーケットの価値向上が期待される。

しかしながら、大阪府市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の計画が新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)されており、2027年3月までとしていた開業時期についても、松井一郎市長は「1~2年程度延期される」との見通しを表明している。また、IR事業者の公募に応じたのは米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスによる共同グループ1事業者のみであり、アフターコロナの観光需要を見極めた上で、事業計画のアップデートが求められる状況にある。

万博とIRを見込んだ建設などインフラ整備にともなう経済効果の期待感から、道頓堀まで徒歩圏内の難波エリア、都心部と舞洲・夢洲との導線上にあると考えられた九条などは、一時、大きな価格上昇傾向にあったが、このような動きは現在は見られない。また、賃料負担力が高いと考えられていたドラッグストアや家電・ブランド店についても、インバウンド客が皆無の状況において、閉店や移転を余儀なくされている。

目下、不動産の動きとして活況を呈している分野としては、ネットショッピングの増加に伴う物流施設、自社利用を目的とする都心オフィスビル、収益用マンション、戸建住宅については堅調な動きが見られ、当社においてもこれらの需要を元とするビジネスが多くなっている。

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